彷徨えるフジワラ

年がら年中さまよってます

渡米時のモバイル通信環境に関する備忘録

先日、Mercurial 3.8 Sprint でサンフランシスコに行った際に、現地でのモバイル通信環境を確保するために、事前調査した内容と、実際に現地で確保した通信環境を使用してみての感想を、備忘録代わりに公開しておきます。

前提条件

異郷での一人旅では、「確実にネットワークに繋がる」+「Google Map が使える」が何よりも頼もしいことを、前回のロンドンでの Mercurial 3.6 Sprint で痛感させられたので、今回も現地で SIM を調達することにしました。

前回は手元にある機材が Nexus7 だけだったので、Nexus7 用のデータ通信 SIM に加えて、通話用に別途現地で格安 Nokia 端末を入手しましたが、今回は新たに入手した ASUS ZenFone2 (ZE551ML) でデータ通信(テザリング含む)/通話/SMS を全て賄うことにします。まぁ、通話は全然使いませんけどね(笑)

ちなみに、今回の旅程は:

  • 木曜日: 現地到着(夕方)
  • 金曜日 〜 日曜日: 終日 Sprint
  • 月曜日: 終日観光 〜 深夜発の便で帰国

という感じで、あまり観光の時間が取れないことから、データ通信量は 1GB もあれば十分と思われます。

事業者選び

今回もプリペイドプラン (PAYG: Pay as You Go) の SIM 購入を考えていたのですが、以下のような条件を満たす事業者を選ぼうとすると:

  • 自前のデバイスを利用可能: BYOD (Bring Your Own Device)
  • テザリングが可能
  • 4G バンド 2/4 対応機種で利用可能

実は米国の四大キャリアの中では T-Mobile US しか残りません。

事業者 BYOD テザリング バンド 2/4
Verizon x ? o
AT&T o x o
T-mobile o o o
Sprint ? ? x

MVNO 事業者を含めれば、T-Mobile 系列以外にも条件を満たす事業者はあるみたいですが、回線の開通手続き等でのトラブル回避等を考えると、MNO 事業者から選択しておきたいところです。まぁ、「現地での買い物の練習」として、丁度手頃という点もありますが(笑)

というわけで、今回の渡米では消去法で T-Mobile からの SIM 購入となりました。

実は T-Mobile も、以前は PAYG プランでのテザリングを許可していなかった(「お目こぼし」的に使えるケースはあった)らしいのですが、2015-06 頃に「テザリングを全面解禁」の旨がアナウンスされたらしく、今回の渡米はタイミング的にラッキーだったと言えます。

T-Mobile は、「提携先の動画サービスの視聴なら通信量計上から除外」など、攻めの施策を次々と打ち出して、契約者を増やしているみたいですね。Line が似たようなサービスで MVNO 事業に参入するみたいですから、日本の MVNO 事情もますます面白くなりそうです。

以下、T-Mobile 以外のキャリアに関するメモ。

● Verizon

最大手の Verizon Wireless は:

  • 自社販売端末の他キャリアでの使用は許可 (= 販売される端末は SIM ロックフリー)
  • 他社販売端末での自社 SIM カードの使用は不許可

といった按配で、PAYG プランでの BYOD を認めていません (@2016 初頭時点)。

ネット上には、「Verizon 店頭のデモ機器の IME 番号を流用」することでアクティベーション時のチェックをすり抜けるという、違法スレスレな手段を用いるユーザのブログ等も散見されますが、流石に渡航先でそこまでリスクを冒す覚悟はありません(笑)

AT&T

AT&T Mobility は、BYOD こそ認めているもの、PAYG プランのテザリングは許可していません。

それに加えて、AT&T の PAYG プランは料金が高めな印象があります。

● Sprint

Sprint Corporation は、以下の 4G バンドでサービスしているため、今回使用する ZenFone2 (日本向けモデル) は対応できません。

  • 25 (1.9GHz)
  • 26 (800MHz)
  • 41 (2.5GHz)

プラン選び

今回は「滞在5日で観光は最終日のみ」であることから:

  • USD 3 で 30min 通話 or 30 SMS (有効期限一か月)
  • USD 10 で 1GB の 4G データ通信 (有効期限一週間)

という組み合わせの、PAYG における最安プランが妥当そうな感じです。

購入

前回同様、回線の開通手続き等でのトラブルを避けたかったので、「通販購入〜国際配送での事前入手」とか、「空港自販機での購入」ではなく、店舗で直接購入することにしました。

今回も現地到着は夕方だったので、念のために確認してみたところ、やはり店舗によっては 19:00 ぐらいで閉店してしまう所もあるみたいです。店頭購入しようとする場合は、旅程とのすり合わせが必要ですね。

宿泊先ホテル近隣の店舗に出向いて、想定していた最安プランでの購入を告げると:

最安のプランは、別途 SIM カードの購入が必要なので、全部コミコミで「通話/SMS 無制限、データ通信 4GB (5GB だったかな?) で、一ヶ月有効」なプランの方が、トータルでお得

とのこと。

SIM カードの代金が USD 20 なので、当初予定していた PAYG プラン料金 USD 3 + USD 10 = USD 13 との合計は USD 33 となります。

確かに「USD 33 で 1GB」よりは「USD 40 で 4GB」の方がお得感があります。データ通信 1GB は確かに心許ないので、お勧めプランを購入することにしました。

使用感

4G 通信でのネットアクセスは、テザリングも含め、特に問題もなく、快適に利用できました。

今回の滞在中に訪れた Embarcadero 〜 North Beach 〜 Golden Gate 一帯に関しては、電波状況もすこぶる良好です。

ちなみに、宿泊先ホテルで提供される Wi-Fi 回線も使ってみたのですが、「IMAP over SSH 程度ならまぁまぁ何とかなる」程度でした。「思っていたよりは使える」のですが、普段国内で使っている光回線のような快適さとは雲泥の差です。

そのため、ホテルで PC からネットにアクセスする際には、結局 4G 回線 + テザリングを使っていました。

もっとも、観光が1日しか無かったこともあって、最終的なデータ通信量は 1GB 程でしたけどね。

振り返り

「在住者向けの (通常の) PAYG プラン」とは別に、「海外旅行者向けの PAYG プラン」が存在していて、これが先述した「コミコミプラン」に相当するみたいです。

旅行者向けプランは、通常の PAYG プランよりも幾分割安な感じですね。

ZenFone2 の利用で一番心配だったのがバッテリーの持続時間だったのですが、とりあえず公共交通機関のダイヤ検索や、駅/バス停への経路案内程度であれば、終日使用しても大丈夫でした。

観光の途中からは、バッテリーが切れたデジカメ代わりに、写真撮影にも使っていたことを考えると、予想以上に長く使えた感じです。