研究施設一般公開
昨年は、JAXA の筑波宇宙センターと調布航空宇宙センターの一般向け公開を見学してきましたが、今年は調布航空宇宙センターに隣接する、海上技術安全研究所、電子航法研究所および交通安全環境研究所の3つの施設の一般公開を見学してきました。
海上技術安全研究所
最初は、海上技術安全研究所から。
圧巻なのは、やはり長さ400mもある試験水槽(大水槽)ですね。
ちなみに、目黒にある防衛省の技術開発本部の艦艇装備研究所も、大きな試験水槽を持っていますが、こちらは長さ247mなので、海上技術安全研究所の施設の方が格段に大きいですね。
サイズこそ大水槽に負けますが、造波装置付きの水槽もなかなかの格好良さ。
ちなみに、水槽のある建物は基本的に窓が無く、外界からの光があまり入らない構造になっていますが、これは光合成による藻の繁殖等を防ぐためとのこと。
この対策のお陰で、水槽建築時点から数十年単位で水の入れ替えをしていないのに、大水槽の底 (水深8m!) が見えるほどの透明度を保っていました。
また、船舶の水上部位や、洋上建造物等への影響を研究するために、海上技術安全研究所も風洞設備を持っていて、一般公開でも強風体験ができたりします。
電子航法研究所
お次は、電子航法研究所。
リアルタイムの飛行機管制情報 (地上移動状況含む) 表示システムとか、滑走路上の異物検知など、ここでの展示を見ると、仙台空港が先端技術の試験場を兼ねていることがわかります(笑)。
個人的な一番のハイライトは、「高速鉄道用光通信システム」の展示ですね。
展示自体は、オシロスコープ x2 とちょっとした機材のみの、簡素なものですが、光通信=信号のデジタル化という発想からの離脱は、物凄く衝撃的でした。
この展示を含め、他の施設における、物理的にガショガショ動くことで情緒的に訴えてくる設備・機材と比較すると、電子航法研究所の展示内容は、渋いというか、地味というか、まぁ、そういう感じです(笑)
ちなみに、電子航法研究所での展示では、航空無線の受信にもっぱら GNU radio が使用されていました。
最初に「Software Defined Radio」(SDR) の事を耳にした時は:
変調方式毎にハードウェアを組んだりしなくても、プロセッサパワーで信号処理してしまえば良いんじゃねぇ?
という発想に衝撃を受けた記憶があります。
交通安全環境研究所
最後は、交通安全環境研究所。
台車試験設備の軌道側の回転体は、左右独立で、角度をつけたり回転数を変えたりできるので、様々な条件のカーブを、自在に再現できる優れものとのことです (上からの荷重も調整できるらしい)。
ちなみに、台車試験設備の説明をしてくれた方は、「鉄道は世界最高の乗り物ですから」と自信満々な、鉄道大好きな職員の方でしたが、多分、この近辺の研究施設の方々は、自分のところで研究している乗り物が世界一イケテル!と思っているんだろうなぁ(笑)
航空宇宙センター
公開終了までに、ちょっとだけ時間の余裕があったので、隣接している航空宇宙センターで、新調された計算機システムも見てきました。
現在、富士通製 SPARC64 XIfx を使用したものへの移行過程とのこと。
ちなみに、2013年に施設見学した時の計算ノードは、(Open)Solaris on SPARC 主体だったのですが、現在のシステムは Linux on SPARC とのことです。残念……
その他
今回見学した各施設には、以下の様な乗り物系のシミュレータがあります。
- 海上技術安全研究所: 大型船舶の操船シミュレータ
- 交通安全環境研究所: 自動車/電車の運転シミュレータ
- 航空宇宙センター: 飛行シミュレータ
小型バス等を使って各施設のシミュレータをハシゴしながら、仮想的な移動経路を制覇する、みたいなことができたら面白そうな感じです。
有料の特別公開枠とかでも良いので、企画してくれないかなぁ……