彷徨えるフジワラ

年がら年中さまよってます

「なりたい」と「やりたい」と「やり遂げたい」

以前、会社の採用に関わっていた際に感じていた違和感を、端的に言い表してくれたのが、"或る専門講師の事情" における以下のくだりです:

もし、生徒がまっとうにやる気を出し、「プログラをやりたい」と思うなら、私はきちんと指導します。

しかし、こういった生徒の希望は、「プログラをやりたい」というものなのです。もう根っこから間違っているのです。

採用した方も採用された方も不幸になるので、就職活動に先立って、自分が「プログラをやりたい」のか「プログラになりたい」だけなのかを見極めるのは重要です。

但し、この「プログラムをやりたい」という意識も案外曲者で、仮に「自分の作りたいプログラムだけを作っていて構わない」という理想的な状況であったとしても、「作りたいプログラム」の完成に至るまでには:

  • 新たな概念や技術の修得が必要になる可能性がある
  • 単に面倒なだけの雑多な要素も必要(例: エラー処理/ユーティリティ)
  • 発生した障害を解消するためには地道な作業が必要

といった「楽しくない行為」の必要性に直面することになります。

全体規模が 1K ステップ程度であれば、これらの「楽しくない行為」もウヤムヤにできるのでしょうが、5K 〜 10K を超えるような規模の場合、否が応でもこれらに対処する必要があります。

中にはこういった「楽しくない行為」に耐えられない人が居て、趣味の範囲であれば好き嫌いの問題ですから全然構わないのですが、職業としてプログラミングをするのであれば、このような耐性の欠如は致命的です。

例えて言うなら、ホームパーティーで料理を振舞う分には抜群の能力を発揮するけど、飲食業に従事するのには向いていない人も居る、とでも言えば良いでしょうか?

まぁ、自分の得意な料理を気が向いた時に一方的に振舞うのは好きだけど、客の要望に応じて一日中料理するのは嫌い、というケースが一番ありがちですが(笑)。

というわけで、就職活動前にプログラミングをやってみるならば、10K ステップとは言わないまでも、有る程度の規模のものを作ってみて、「楽しくない行為」に耐えられるほどプログラミングが好きなのかを自問してみるのも重要ではないかと思うわけです。

なお、「新たな概念や技術の修得」は楽しいものじゃないの?と思うかもしれませんが、「すぐに理解できないことについて長時間考え続ける」ことそのものに耐性が無い人が居て、「新たな概念や技術の修得」で得られる達成感よりもそれに要する労力を惜しいと思ってしまうことが多々ある、という点から「楽しくない行為」として挙げてあります。

上記の「楽しくない行為」のどこが「楽しくない」のか全然理解できない、という人は、迷うことなくプログラミングに邁進してください(笑)。