彷徨えるフジワラ

年がら年中さまよってます

MVNO 回線と docomo 回線の利用コスト比較

ネット界隈では、「iPhone 等の高額機種を購入するのであれば、MVNO 回線 + SIM フリー版よりも、三大キャリアと契約する方が得」、という言及を多数見かけるので、本当にお得なのか、どの程度お得なのかを調べてみました。

年が明けたら、総務省の指導に基いて、料金体系が大きく変わると思われますが、とりあえず「2015 年末時点ではこうだった」という備忘録代わりに公開しておきます。

前提条件

これ以降で記載されている金額は、全て 2015-12-08 時点での税抜き価格です。また、事務手数料等の類は、簡略化のため除外しています。

購入機種は iPhone6s 64GB を想定します。

比較対象は以下の2つのプランです。

--- IIJmio docomo
通話 従量制 (10円/30秒)(*) 無制限 (カケホーダイ)
データ通信 3GB 2GB (データSパック)
その他 想定通話料: 400円(= 20分相当(*)) SPモード: 300円
月額使用料 2,000円 (1,600 + 400) 6,500円

(*) 「みおフォン」利用を想定

なお、月々の通話がコンスタントに 245 分(= 「みおフォン」併用で 4,900 円相当)を超える場合は、通話無制限のプランで月額使用料を安価にできる docomo 利用の方が明らかにお得ですから、このエントリをこれ以上読み進める必要はありません(笑)

また、大量の契約 ⇒ 売却を繰り返すことで、「実質的に安価に運用」するケースも無視します。

IIJmio + SIM フリー iPhone6s

IIJmio + SIM フリー iPhone6s を二年間 (24ヶ月) 維持する費用は、以下のようになります。

機種購入 98,800
月額基本料 48,000 (2,000 x 24)
総維持費 146,800

SIM フリー iPhone6s は、Apple ストアでの直販価格です。

docomo 回線 + iPhone6s

docomo 回線 + iPhone6s の場合は、維持費の算出が少々(非常に?)複雑です。

まずはベースとなる基本維持費を算出します。

機種購入 92,400
月額基本料 156,000 (6,500 x 24)
基本維持費 248,400

この基本維持費に対して、iPhone6s 購入に対する「月々サポート」や、他キャリアからの MNP に対する「乗り換えボーナス」や「チェンジ割」といった割引きが適用されます。

--- 新規/機種変 MNP
月々サポート -56,400 (-2,350 x 24) -70,800 (-2,950 x 24)
乗り換えボーナス 0 -10,0000
チェンジ割 0 -16,200 (-1,350 x 12)
割引き総計 -56,400 -97,000

以上のことから、割引きを適用した場合の総維持費は以下のようになります。

--- 新規/機種変 MNP
基本維持費 248,400 248,400
割引き総計 -56,400 -97,000
総維持費 192,000 151,400

また、IIJmio 利用に対する総維持費の差額は以下のようになります。

--- 新規/機種変 MNP
IIJmio との差額 +45,200 +4,600

結論

docomo 回線の利用時は、以下のような割引き/値引きがありますが:

  • 乗換ボーナスや月々サポートの増額
  • 各種クーポンの利用
  • 売店による値引き/キャッシュバック
  • MNP における下取り金額の増額
  • 固定回線との同時契約による割引き
  • 複数回線の同時契約による割引
  • 年齢による割引き

これらは基本的に、MNP による転入から一定期間限定だったり、新機種購入が前提になっているものが多いです。そのため、二年毎の MNP 転出や新機種購入が無い場合、三年目以降は割引きの適用が無くなると考えた方が良いでしょう。

もしも三年目以降も同一キャリア/同一機種での利用を継続するのであれば、月々の基本料の差で月額 6,500 - 2,000 = 4,500 円、年額にして 54,000 円だけ、三大キャリア利用の方が高額になってしまいます。

auSoftbank でも料金体系や割引き施策が同等程度であろうと想定するなら、MVNO 回線利用よりも三大キャリアの方がお得なのは、以下の全ての条件を満たすケースに限定される、と考えておけば良さそうです。

  • 二年毎に必ず MNP 転出+新機種購入
  • MVNO 回線利用時との差額以上に、割引き/値引きを利用

前者の条件を満たすということは、「MNP 適用」であることを意味しますから、後者の条件を構成する「MVNO 回線利用時との差額」は、先述したように二年間総額で 4,600 円になります。

「二年間総額で 4,600 円」であれば、それ以上の割引き/値引きを利用するのは、比較的容易でしょう。

本エントリでの MVNO 回線利用で想定している月々 20 分(= 400円相当)の通話に対する、実際の通話の多寡によっても、この辺の条件は変わってきますから、後は個別の利用条件に応じた確認が必要でしょうね。

なお、「三大キャリア利用の方がお得な運用」を行うということは、このエントリの例で行くと、二年毎に 150,000 円程度の支出がコンスタントに発生することを意味します。

二年毎に新機種へと更新する必要が無いのであれば、仮に iPhone のような高額機種を購入する場合でも、総支出額では MVNO 回線を利用した方がお得と言えるでしょう。

まぁ、ちょいちょい PC の新調/買い足しをしていた散財振りを考えたら、言うほどの出費でも無い気がしないでもないですが(笑) > 昔の自分