オペレーション・アメロブラストーマ
エナメル上皮腫の治療で右下顎部の骨をゴッソリ削る手術を行うため、明日から入院することに。
バトルもの漫画に出て来る必殺技みたいな "ameloblastoma" などという英名を持つこの病気、和名からもわかるように、要するに顎に腫瘍ができたということらしい。
年度末に親知らずを抜きに近所の歯科医に行ったら、レントゲンを見た医者に「でかい病院に行け」と言われて、あれよあれよという間に「エナメル上皮腫」診断が下ったという具合。
奥歯の根元部分に、本来「影」のように写る筈の骨が写っていない、つまり腫瘍に浸潤されたためにスッカスカな状態になっていた模様。
レントゲン結果は左右逆 (= 医者から患者を見た場合に丁度良いから?) になっているけど、上の図は右下顎のレントゲン(向かって左側が奥歯側、右側が前歯側)。
根元が浸潤されているため、奥歯2本は完全に死んでいる状態らしく、早々に抜歯された上に、腫瘍の膨張圧力を逃がすために、チューブ (= いわゆる「ドレン」) を据え付ける事に。
ドレンで腫瘍の圧力を逃がしてやると、浸潤された骨が幾分かは再生するらしい。
診断当初の状態だと、浸潤が結構深刻だったようで、取り得る選択肢は以下の2つ。
- すぐに腫瘍除去手術 ⇒ 右下顎切断
- 骨の再生を待って腫瘍除去手術 ⇒ 右下顎の部分切除
で、下顎切断は今後の QOL に影響するので、骨の再生を待つ選択をしましょう、との主治医の判断。
バーチャルでゲーム脳で手塚ブラックジャックでスーパードクターKな世代としては、悪い部分はさっさと切ってしまった方がよくねぇ?な気分が無い訳でも無いけれど、味覚とか諸々に影響が出るだろうし、ここは医者の言うことに従っておくことに。
それから、そもそもの発端だった親知らずに関しては、「親知らずのお陰で、辛うじて顎の強度が維持できているから、手術の時までそのままにしておきましょう」とのこと。意外なところで役に立っているなぁ > 親知らず
ちなみに、主治医は盛んに「まだ若いから」と連呼していたので、四十路男を捕まえて「まだ若い」も無いもんだ、と思っていたけど、歯科口腔外科関連の治療って、入れ歯とか歯周病とか、実はもっと年を経てからの方がボリュームゾーンであることを考えると、確かに四十路じゃ洟垂れ小僧なのかもしれない。
で、ドレンをつけて3ヶ月ほど経過してから、レントゲンで確認してみると....
おぉ!骨が再生してる!以前のレントゲンではスッカスカだったあたりに、うっすらと骨が再生している痕跡が!
CT での映像からも骨が再生している様子が確認できたので、これなら下顎を切断せずとも、腫瘍部の除去だけで済みそうとのこと。
もっとも、腫瘍部の「除去だけ」とは言っても、顎を切断せずに済んだというだけで、腸骨から骨を移植して、更に補強用にプレートを埋め込むとのことなので、手術そのものは相応の作業になる筈。対象が頭部なので、手術の進行上、全身麻酔にせざるを得ないしね。
それと、エナメル上皮腫は再発の可能性が決して低いわけではないので、予後も継続的に観察しつつ、場合によっては再手術で下顎切断、というケースも覚悟する必要があったりして、なかなかに凹む話。
ちなみに、CT 撮影の結果を見た際に、顎の内側の骨が浸潤で薄くなり、殆ど無くなっている様子を、主治医が「顎の骨が皮一枚で残っている」などど形容するのを聞いて、思わず笑いそうになったのは内緒。
そうそう、手術日がマイルスの命日なので、折角手持ちのアルバムを全部 iPod に詰めたのに、「一日中電化マイルスのヘビーローテーション」とか出来ないのが残念。